祖国とは国語

2006年1月27日 読書
藤原 正彦は数学者です。
ラジオで「国家の品格」という本の紹介をしていて
それを図書館で探したら借り出されていたので
この「祖国とは国語」を借りました。

タイトルからして硬そうでしょ。

いろんなところへの連載をまとめたものなので
藤原コンビニみたいにはなっていますが
前半の新聞連載エッセイ群で
「な、なんやねんな このオッサンは」と砕けます。

世の中でもっとも不快な一瞬は、チョークを手にした教師が誤って爪で黒板を引っかいた時であろう。
小学生の頃、この音で震え上がった私は、以後、教師のチョークが2センチほどの短さになると、生きた心地がしなかった。
私自身が教師になってからは人間(とりわけ自分)への思いやりにあふれた人柄から、
3センチ以下のチョークは決して手にしないよう心がけている。


とかいうあたりから、怪しいぞと思いはじめましたが
読み進むううちに、尋常でない言葉の使い方のうまさとともに
きっとものすごくキュートなオッサンに違いない、と確信しました。

知りませんでしたが
藤原先生、新田次郎と藤原ていのご次男でした。
才能というのはやはり受け継がれ引き継がれてゆくものなのか。
巻末の写真がまたキュート。たまらん。

とはいえ、
文化審議会のメンバーでもある先生は
たいへんな人格者であると思いました。いわゆる日本のカシコです。
教育の未来についてのお考えもそれはそれは確かなものです。
なかほどの国語教育絶対論にはいちいち納得。
個性の尊重の意味を履き違えているゆとり教育にわかりやすくパンチをくらわせておいでです。
小さなことがらをつつくのではなく、今この国に足りないものの本質を解くさまが、まさに数学者。
正しく読んで欲しい本です。へそ曲がりは読んじゃダメw

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