金曜日にPTAの人権講演会があった。
貧困について、路上生活者支援NPOさんのお話を聞きました。

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普通の人が路上生活者になるとき、階段を一段ずつ落ちてゆく。

仕事をしていたのに失職。
仕事の階段を一段落ちる。
セイフティネットは雇用保険・労災保険。
雇用保険が切れた時に失業扶助がないので、ばりっと破れてネットから転がり落ちる。


職がないから年金や健康保険や介護保険の保険料が払えなくなる。
健康の保障がなくなる。体が悪くなるとどうにもできない。
健康の階段を一段落ちる。
ここにセイフティネットはない。


体が悪いから仕事ができない。
家賃が払えない。滞納。ローンの破たん。家がない。
住居の階段を一段落ちる。
セイフティネットであるはずの公営住宅はくじびきであたらない。家賃の扶助はない。


貯金が尽きる。借金をはじめてしまう。
金銭の階段を1段落ちる。
最後のセーフティーネットが生活保護だが捕捉率は19%だそうだ。
どすん、と底に落ちる。そして野宿。


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貧困の階段は下り階段だけ。
落ちてしまってから元の位置に戻ろうにも上り階段はなくて高い壁があるだけ。
だから上るのが難しい。
だから上り階段を作ることが「支援」。

生活保護の申請を手伝う。

家賃が払える状態になった。

入居の保証人になる。

住所ができた。

仕事探しを手伝う。資格をとる間の生活保障をする

生活を立て直して保護しつつ「関係の貧困」を解決する。

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現代の貧困は
「経済の貧困」と「関係の貧困=社会的な孤立」の複合。
経済的な貧困の根は関係の貧困に由来することが多い。
自分の居場所がない貧困。
家庭が居場所ならない「虐待」
学校が居場所にならない「不登校」
社会に居場所が持てない「ひきこもり」


失業して、行政からも放置されても家族が助けてくれた。
うちにはおかあちゃん(専業主婦)がいて、
「家族福祉」が大きく働いて家族を支えていた。
社会は変わって、家族も変わった。

国家の失敗は行政が生活保障を回復させて対抗する。
市場の失敗はまともな雇用を回復させて対抗する。

でも、家族の失敗は回復の見通しがない。
家族以外の互助関係が必要になる。

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1993年一人の高校生が親の借金で高校を中退した。
両親は失踪。助けてくれる人は誰もなかった。
短期労働を転々として1999年、池袋で通り魔殺人の犯人になった。
2008年、死刑判決が出た。

1993年一人の中学生が親の借金で家族解散を宣言された。
父親は失踪。3人兄弟の末弟は公園で暮らした。
事情を知ったともだちのおかあさんが、助けてくれた。
地域の人たちが3人兄弟に家を借りてくれて、生活費を貸してくれた。
1999年漫才コンビデビュー。2008年、「ホームレス中学生」がベストセラーとなった。


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経済の貧困の階段を落ちてゆく前にできること。
上り階段を作ること。

まさかとは思ったが 身近に。身内に。
下り階段の前でふらふらしているのがいようとは。

そっちじゃないよ、こっちだよ。
手伝うから、いっしょにがんばろう。おにいちゃん。
金はないが、心は豊かだ。


コメント

kaichu
2010年2月2日0:46

これはたしかに・・・。
しかし身寄りも職もない私が外国で何とかなったのは、
1、貯金
2、友達(その後の元夫ならびにバイトを紹介してくれた友達)
ということになるんですね。

友達って大切。特に仕事をしたことのある人が友達になっている場合は、自分の仕事の仕方を知っていてくれるから。戻って、仕事の仕方も大切。あいつにはこれなら任せられると思われているということ。でもそういう仕事をくれるのは大体アジア人の友達だね。

人間関係って大切よね。

きゃおる
2010年2月2日9:50

関係の貧困 て言葉に 悲しくて胸が痛かった。
これ以上、そんな国にしてはいけないって
いま自分がしっかりしなきゃ、未来にバトン渡せないなぁって思いながら聞きました。

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